概略
稚内港北防波堤ドーム(以下:ドーム)は1931年(昭和6年)から建設され、1936年(昭和11年)に完成しました。全長427m、高さ13.6m、柱の数は70本あり、半アーチ型の古代ローマ建築を想わせる回廊は、世界でも類のない建築物です。2001年(平成13年)10月に「北海道遺産」、2003年(平成15年)に「土木遺産」に指定されています。現在では年間を通して様々な催しが開催されており、また、映画やCMのロケ地としても利用されることがあります。
ドームができるまで
南樺太が日本領となった後、稚内港の建設が開始され、それと同時にドームの建設も始まりました。稚内は年中強風が吹き、波も高く、ドームができるまでの小さな防波堤では波が防波堤を易々と越え、岸壁にいる人が海に転落する事故もありました。そこで、当時稚内築港事務所長だった「平尾俊雄」は、北海道大学を卒業してわずか3年目の技士「土谷実」に新たな防波堤の設計を命じました。現在のドームの形は、平尾所長が構想をフリーハンドスケッチで土谷に提示し、土谷が設計・計算するという手順でした。
稚内桟橋駅
稚泊航路(稚内と樺太の大泊(現:コルサコフ)を結ぶ航路)の運航が始まった1923年(大正12年)当時は、現在の南稚内駅が鉄道の終着駅であり、乗客は船着場までの1.6㎞を、冬でも徒歩で歩いていました。その苦労を解消するため、1928年(昭和3年)に稚内港駅(現:稚内駅)まで鉄道が延伸。1938年(昭和13年)日にはドーム前面に「稚内桟橋駅」が開業されました。これにより、乗客は列車を降りたあと、そのまま連絡船への乗継が可能となりました。
経緯(年表)
1920年(大正9年) | 稚内港の建設に着手 |
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1922年(大正11年) | 稚内まで鉄道が開通し、稚内停車場(現:南稚内駅)が開駅 |
1923年(大正12年) | 樺太との間に稚泊航路が開設 |
1928年(昭和3年) | 稚内港駅(現:稚内駅)が誕生 |
1935年(昭和10年) | 稚内港が完成 |
1936年(昭和11年) | 稚内港北防波堤ドームが完成 |
1945年(昭和20年) | 稚泊航路が廃止 |